【新型コロナ】実効再生産数Rtをエクセルで計算してみた(WHOお墨付き!?)
前回の書き込みから御無沙汰しております。
猛反省して新型コロナ(COVID-19)の論文を調べ、紆余曲折してはやウンヶ月。PythonとRのインストールにからかわれておりました。^^;
世界保健機構(WHO)報告(3月12日)から、再生産数の定義は以下
Rt (the effective number of secondary cases per infectious case in a population)
1人の感染者が2人目にうつす数。
SIは、1人目が発症してから、うつした人が発症するまでの期間。
そこにはRプログラムが添付されていて(https://CRAN.R-project.org/package=EpiEstim)
その作者Anne Coriさんの論文A New Framework and Software to Estimate Time-Varying Reproduction Numbers During Epidemicsでは、EXCELもリリースされていました。
http://tools.epidemiology.net/EpiEstim.xls
つまり、WHOお墨付き!?
この論文、2013年です。専門家の方ならとうにご存じですね。orz
と思いつつご紹介
使い方もいたってシンプル。
EpiEstim.xlsをダウンロード
↓
DataタブのIncidenceに読み込みたいデータを貼り付ける
↓
Estimate R!
↓
結果がFigureに表示される
計算内容は、この論文もさることながら本人が監修しつつ他の方が書いている論文が簡潔で分かり良いです。こちらも機会があればご紹介します。
さっそく、日本の新型コロナのRtを計算してみましょう。
(1) http://tools.epidemiology.net/EpiEstim.xlsからダウンロード
(2) コンテンツの有効化
(3) Dataタブを開くと
(4) オリジナルは他の感染症のデータになっているので、COVID19Serial Intervalの値に書き換える。ちょっと古いかも知れないがWHOで5-6日と言っていたので、mean5.5日、SD1くらいにしてみよう。
(5) 日本のデータをIncidenceに貼り付ける。このとき、データ長を変えた場合には、Timeを変更してMax Timeもそれに合わせて変更する。
厚生労働省のデータ(https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/open-data.html)を使おうとすると、”陽性者数pcr_positive_daily.csv”と”入院治療を要する者の数”cases_total.csvのどちらを使うべきか迷う事になる。Rtは1st case→2nd caseの倍率なので、必要なのはcases_dailyであるはずだ。しかし、ここでcases_total.csvからdailyを作ろうとすると、マイナスの値が続々発生して、、どうも定義が違うらしいorzということで断念して、”陽性者数pcr_positive_daily.csv”を使ってみた。
(6) Estimate R!
(7) Figuresタブが開いて、Incidence、Serial interval distribution、R averaged over time periods (posterior median and 95%CrI)の3つのグラフが表示される。
Rの計算の最初の方は少々おかしいが、まぁご愛敬ということで。
日本の2020/3/1~2020/9/25の結果
論文についているPythonやらRやらのプログラムを動かそうとして、インストールだのバージョン問題だのに振り回されて毎度1ヶ月以上要していた事を考えると、Excelは神
ただし、中はいじるなとのことで、自分の研究の参考にするのはちょっと難しそうかな。
【参考文献】
WHO(2020) Public health criteria to adjust public health and social measures in the context of COVID-19
Anne Cori(2013) A New Framework and Software to Estimate Time-Varying Reproduction Numbers During Epidemics
キーワード 実効再生産数